てんかんの疑いがあれば検査を行いましょう

てんかんは突然、脳が興奮して発作を起こす病気です。100人に1人が発症すると言われているので、決して珍しい病気ではありません。
特に子どもの時期の発症が多く見られます。子どものてんかんでは、てんかん発作が続くと、脳の発達が妨げられることがあるので、早く見つけて早く治療することが重要です。
てんかんは、小学校に上がる時の健康診断などでは見つけにくいです。
発作が起きていない時は、健康人と何ら変わりがないことが大半だからです。

また、採血をして行う血液検査や胸のレントゲン、聴診などには異常は出ません。
しかし、他の病気との鑑別診断のために、血液検査やこれらの検査も行われることがあります。
てんかんの診断で重要な検査は、脳波検査です。頭全体に電極をつけて脳波を調べて脳の機能状態を見ます。
てんかんでは、発作が起きていない時でも、棘波(きょくは)と呼ばれる、ギザギザとした波形が出ます。
1回の脳波測定だけではなく、数回繰り返して検査したり、眠っている状態で検査を行うこともあります。

また、長時間ビデオ脳波同時記録と言って、どんな時に発作が起きるのかや、発作の始まり方や発作時の意識レベルや様子を詳しく把握するために、ビデオ撮影をしながら脳波検査を行うこともあります。
MRIやCTは、てんかんの原因となる脳の傷や異常がないかを調べるために、行います。
SPECTは、脳に流れている血液の量を調べる検査です。SPECTは、ごく微量の放射性物質を含む薬を静脈に注射して、その物質の分布状態を見ることで脳の血流を調べる検査です。
また、PETという検査が行われることもあります。PETは日本語に訳すと、陽電子放射断層撮影装置です。

ポジトロン・エミッション・トポグラフィーでその頭文字をとってPETと呼ばれています。
この検査も、静脈に注射をして行います。神経細胞が活動するためにはブドウ糖が必要です。
神経が興奮すると、ブドウ糖がその部分に集積するので、それを利用して脳が興奮しているかどうかを見る検査です。

SPECTやPETは注射をするので、小さなお子さんの場合は泣くかもしれませんが、必要な検査はきちんと受けましょう。
問診もとても大切です。おかしいと思った時の状況をしっかりと話せる人が、患者さんと一緒に診察を受けてください。
親御さんが見ていなかった場合は、保育士さんなどの見ていた人から充分に話を聞いて、問診の時にきちんと答えられるように、準備をしてください。

てんかんの疑いがあるのに検査をしない危険性について

てんかんで一番怖いのは、急に意識を失うことによる、転落やケガです。てんかんの発作は1秒で起きる、と言われています。
自分の横を歩いていた人が、急に「バタッ」と倒れて意識を失っていたら、てんかんを疑えと言われているように、今まで何ともなかった人が1秒後には意識を失って倒れているのが、てんかんの大きな特徴です。
風邪をひいて高熱が出て倒れてしまった場合などは、徐々に体がつらくなってきて「倒れるんじゃないか」と思っていたら倒れてしまうことが大半です。

元気に歩いていた人が急にバッタリ倒れて意識がない、などと言うことはまず、無いでしょう。
しかしてんかんの場合は、いつ倒れるのかは、親も本人も全く予測がつきません。
歩いていて倒れたのならまだしも、ジャングルジムで遊んでいて一番上から落ちた、という例もあります。
このような事故や大ケガを防ぐためにも、早く見つけて早く治療することが重要です。

また、発作を繰り返していると、脳の発達にも影響を及ぼすことがあります。
大人になっても発作を繰り返していると、進学や就職にも影響を及ぼすこともないとは言えません。今は、てんかんの治療も進歩しています。
薬を飲んで、専門医の元できちんと治療を受ければ、約7割の患者さんは、発作を起こすことなく健康人と変わらない生活を送ることができています。

てんかんに対しては、まだまだ偏見の目があることは否定できません。
早く見つけて早く治療を始めることが、医学的見地から見てもお子さんの将来のことを考えたうえでも、とても重要なことです。
脳波やビデオ脳波同時記録やMRIやCT、SPECT、PETなどの検査を、お子さんは怖がるかもしれませんが、親御さんが毅然とした態度で必要なことだと説明してください。もちろん、医師からもお子さんに説明します。